寒グレシーズンが落ち着き、春の気配が感じられてくると、ノッコミチヌ釣りシーズンで賑わってきますが、我々尾長ハンターは沖磯へと足繁く通うようになります。
場所は限られてきますが、私は、尾長の聖地、男女群島へと通っています。数は期待できませんが、ヒットしてくるのは大型が多いのが春尾長の特徴です。記録物に挑みたい方にはお勧めの時期です。
春の海はその日の天候で水温の上下が激しく、基本的に快晴の日は、上層の水温が上がり、尾長のエサとなる小魚やエビ類が上層に浮き、尾長が上層でマキエを捕食するようになります。
逆に曇り空で水温が低下している時は、低層や足元から水深があるポイントでは、瀬際でマキエを捕食するようになります。そのことから、その日に上がれた場所で、釣り座を決めるようにしています。
3月上旬、小潮から長潮と潮の流れは小さいけど、天候が良いとの予報なので、男女群島にチャレンジすることにしました。
午後4時に男島の八女のタンポ、中の瀬奥に瀬上がりし、夜尾長を狙いましたが、大型の尾長は不発。
翌日の朝からの瀬替わりで、帆立岩に上礁する事になりました。本来なら本流の釣り場ですが、この日は長潮でゆったりと流れると予想。
道糸は「全層セミフロートSPインパルス」4号にウキは新製品「Z-Motion」00号。全層釣法での尾長釣りをいかに容易にできるかということに重点に開発した逸品です。
五島列島や男女群島など、対馬海流の中に位置する釣り場では、潮の流れの中で尾長が捕食することが多く、流れを攻略する事が第一条件となります。
潮の流れに仕掛けを馴染ませる為には、ウキの機能というのが重要となり、適していないウキを使用していれば、一匹も釣る事が出来ない可能性が大となります。
そこで、激流でもブレがない安定性、縦、横の流れを掴み流れに溶け込む事、尾長が消しこむ方向にストレートに反応する事など、流れの中で使用する際の必要条件を考慮して出来上がったウキです。
「Z-Motion」という由来は、全層釣法というのは、常に動きを意識する事が大切で、潮の動き、風の動き、魚の動き、マキエの動き、いろんな動きに仕掛けを合わせなければいけません。そのためにはウキがキーポイントとなることからのネーミングです。
まず00号を選択した理由は、仕掛けを組む前にマキエを撒いた際、尾長の姿が目視できず、状況が把握できないことで、どう食ってくるか予想できません。
そこで、上層からゆっくりマキエと同調させていき、尾長が食ってくるタナを見極めたいという事からの選択です。
ハリス5号を2ヒロとり、ストッパーの真下にジンタン4号を打ち、ハリスの真ん中付近に4号をもう一つの二段打ち。
ゆったりとした潮に仕掛けを入れるとウキが潜行していき、中層の流れに仕掛けを馴染ませます。
50~80メートルくらい流したところで、バチバチバチと道糸が弾け飛ぶ体感ショックのアタリです。40~45センチの尾長がポツポツとアタリますが、それ以上に巨大なサンノジが道糸を引っ手繰ります。大型の尾長と出会いたい、という思いが強くなります。
ウキの号数を000に変え、より深場を狙ってみます。少しずつではありますが、流れの勢いが増してきました。チャンス到来です。
道糸を「ドン」といきなり強烈なアタリが襲ってきます。これまでとは違う大型のアタリで慎重にやりとりします。タモに収まったのは、55センチサイズの尾長でした。帆立岩の尾長のレギュラーサイズです。
しかし好釣りはここまで。それからは最悪なサメが群れ出したのです。後ろ髪引かれる思いで見回りに来てくれた船に乗り込み、女島の針古瀬へと瀬替りすることにしました。
瀬上がりしたときは丁度潮止まりの時間帯で、30メートルくらい沖にきれいな潮目ができており、下の赤瀬方向へとゆったりとした流れがありました。
ウキのサイズをBとして上層を狙ってみると、1投目からウキが消し込んで道糸が弾け出ます。45~50センチの尾長が楽しませてくれます。
徐々に下げの流れの勢いが増してきました。針上30センチ付近にジンタン5号を一つ打ち、流れに仕掛けを馴染ませ100メートルほど流すと、バチバチのアタリ。気持ちがいい。55センチサイズの尾長が連発します。
渡りの尾長のようで、体に傷が入っているのがほとんどです。岸寄りしてきたばかりの尾長の群れのようで、食べる分のみキープしてあとは優しくリリースします。「Z-Motion」のデビュー釣行としては最高の出来でした。
これから初夏まで続く尾長シーズン。全層尾長釣法でそれぞれの夢のサイズに挑んでください。私は80サイズの尾長を手中におさめることです。いつまでも夢を持つということは人生において大切なことだと思います。
皆でコロナに負けず、健康に釣りを楽しむことを目指しましょう。
レポート/ 原 隆彦