2020年3月20日、中五島、椛島の鷹ノ巣灯台へ釣行しました。エサは赤貝、サザエ、セト貝、ガンガゼと水温16℃ほどの海況に対応できるように5種を用意し、マキエは赤貝とガンガゼを潰して撒くことにしました。
春が目の前とはいえ九州北部はまだまだ冬の海で、厳しい釣りになるのは覚悟の上でした。それでも魚の反応を見ながら食い気のあるエサを選んでうまく攻めればなんとか糸口は見つかるだろうと、活性が低いながらも五島の魚影の濃さを信じてのチャレンジです。
潮が当たっている南西の角に釣り座を構え、夜明けと同時に釣り開始。
7時頃が満潮なのに、潮は緩むどころか左流れの勢いが増したため、仕掛けを安定させるためにオモリを20号から30号へ素早く変更。宙釣りゴムテンビンはオモリを即変更できるメリットがあり、釣りのリズムを変えることなくスムーズな打ち返しができます。とくにまずめ時は釣りのテンポはとても大事なのです。
手返しを繰り返してカウンター18~14でアタリを探ります。潮が正面から当たってきたのでオモリを再び20号に戻すと、スーッと仕掛けが落ち着きました。
数投後、やっと赤貝がカウンター16で素バリになりました。一瞬期待しましたが、穂先を叩き出したのはウツボでした。仕掛けがグルグルになって上がってきたので察しがつきました。
ウツボはやっかいです。貪欲に軟らかいエサを食ってきて、本命へのアプローチを邪魔します。
潮変わりの時間になっても、流れは変わりません。どうやら今日は一方通行のようです。
左流れがやがて真正面から突っかけるイシダイ潮になりました。この希望の当て潮を信じ、瀬替わりはせずにこの釣り座に掛けることにしました。
赤貝を潰してパラパラマキエを打ちながらアタリを探っていると、カウンター18で2個掛けのガンガゼに反応がありました。しかし仕掛けを上げると、ハリに掛けていた方のガンガゼが少しかじられていただけで本命ではないようです。
エサを替え、タナを変えてアプローチしていた2時過ぎ、ガンガゼの3個掛けが見事に素バリにされました。でも穂先に出るアタリは小さく、チョンチョンと動いただけでエサ取りの仕業のようです。
とはいえ、イシダイも寄って来ているかもしれません。低水温時にガンガゼの素バリは大いに期待できます。潮は上げに変わってからはさらに惚れ惚れするような当て潮で仕掛けがピンと張り、いつ竿先が舞い込んでも不思議ではありません。今か今かと息を殺します。
3個掛けを2投ほどすると、いずれもあっ気なく素バリにされます。しかし、穂先はわずかに揺れるだけ。
そこで、5個掛けにしてエサホルダーでしっかり固定しました。たくさん付けてエサ持ちがよくなれば、小物たちに食い尽くされる前に『どれどれオレにも食わせろ』と後からやってきた本命にも食うチャンスが広がるはずです。
その1投目でした。カウンター14の同ポイントにエサを入れると、相変わらず穂先をチョンチョンと小さく上下させながらガンガゼにアタックしています。でも今度は5個掛けなので、そう簡単にはなくなりません。
そうこうしているうちに、穂先がググーッとお辞儀をしました。本日初のワクワクドキドキの明確なアタリです。直観的に本命だと察し、すぐに臨戦態勢に入ると力強く押さえ込みます。そして次の瞬間、加速しながら舞い込み一気に突っ込みました。
十分食い込ませて合わせを入れると、ずっしりと全身に抵抗が伝わります。数回のシメ込みをかわしてブリ上げたのは3㎏近いイシダイでした。大型ではないけど、粘りに粘り、試行錯誤して手にした1枚だけに嬉しさが込み上げます。口元を見ると4個目を食っていたときに走ったみたいで、5個掛け作戦が功を奏したようです。
やがて回収の4時を迎え、五島の魚影とまっすぐ突っかけてくる潮を信じてよかったと、充足感に包まれながら鷹ノ巣灯台を後にしました。
これからいよいよ本格的なイシダイシーズンを迎えます。
各地でいろんなドラマが生まれることでしょう。
私も諦めない釣りをモットーに、石師魂タックルに魂を込めてワクワク釣行を続けていきたいと思います。
レポート/石師魂プロダクトディレクター 武富 淳