イシダイ天国、長崎県男女群島。春の乗っ込みシーズンは回遊してきたイシダイを狙って多くの底物師がチャレンジし、2ケタの釣果を手にすることも珍しくありません。
多大な釣果にくわえて手持ちのイシダイ釣りをとことん楽しめるのも春の男女群島の魅力。
足元のカベを狙う手持ち釣りのだいご味は、手元に伝わるダイレクトなドキドキなアタリ、そして手強い相手を走らせるまでの駆け引きにあります。
なかなか走らないイシダイをやっと走らせて合せを入れた瞬間は、頭が真っ白になる至福の瞬間と言っても過言ではありません。
たとえば、柔道で大男の相手とがっぷり組んで、相手の出方を見ながら技をかけて投げ飛ばしたり、野球で剛腕投手の動きを観察して球筋を読んでホームランをかっ飛ばすといった豪快かつ充足の達成感に似ているかもしれません。
1対1の真っ向勝負だからもちろん負けることもあります。最高峰のこの釣り場には10㎏クラスのクチジロが潜んでおり、時折底物師の剛竿をねじ伏せ仕掛けをブチ切っていくことも珍しくありません。でもそのかんぷなきまでの敗北が、また石鯛魂を燃え上がらせ男女群島の磯へ掻き立てるのです。
4月6日、九州列島会のメンバーはキングチャレンジャーでイシダイ釣りの最高峰のフィールドを目指しました。
今回はキザクラから発売予定のエサホルダーのフィールドテストも兼ねての釣行です。
春の男女群島のエサは赤貝がメインです。
赤貝はとても食いがいいエサです。でも軟らかいためズリ上がりやすくて食い込みが悪かったり食い込んでも合わせが決まらなかったり、ハリスにキズが付きやすかったりと難点もあります。
そこで輪ゴムをハリスに巻き付けたり、ハリスにゴム管を通してヨージを突っ込んだりと、エサを固定するための工夫をしている底物師も少なくありません。
エサホルダーはテーパー状のゴム性なので、ハリスにフィットしてしっかりエサを固定できます。それでいてワイヤーから着脱しやすいため、ウニ通しでエサを装着する際もスピーディな手返しが可能です。
カラーは、アピール力があるイエローです。イエローはチヌ(クロダイ)が好むエサのカラーとして広く知られています。同じ食性のイシダイにも有効に違いないと実釣を重ねた結果、アタリがよく出るためイエローを採用しました。
さて実釣ですが、同クラブ会長の小原澄男さんが初日に乗った磯は女島の地の平瀬でした。ここでは下げ潮の中から1枚。同礁していた切明勝さんも1枚をゲットしました。ともにタナはカウンター10。男女群島は足元から深く水深は15~25mの釣り場が中心です。潮やシーズンによって狙いどころは変わりますが、基本的に春は浅ダナ狙いに実績があります。ツケエは赤貝の荒割りの数珠掛けで、エサホルダーで固定したものです。
10時の見回りで、小原さんは西の立神(東側釣り座)に瀬替わりしました。ここは下げ潮の反転流を攻めますが、流れが変わりやすく攻略は容易ではありません。それでも20号のオモリでうまく仕掛けを馴染ませ、数投目にカンター10でアタリをものにしました。上がってきたのはいわゆる男女サイズ(1.5~2㎏)でなく、3.5㎏ほどの良型でニンマリです。
それから潮流の微妙な変化を読み取ってアタリを捉え、結局夕方5時の回収までに計5枚を手にしました。熟練の技が冴え、エサホルダーの威力が発揮された結果となりました。
船中泊して翌日は男島の真浦の3番に上がり、4番との水道で竿を出しました。ここは左からの上げ潮に期待でき、朝まずめからいい感じで潮が入り気合いが入ります。
結局、納竿の9時までに1枚を仕留め、1泊2日の合計で7枚の釣果でした。他のメンバーは2~5枚ほどで、4月初旬の時点では、まだ大きな群れが入っていず、食い込みが悪くて苦戦を強いられるといった状況でした(水温の上昇と共に釣況は上向きになり、5月初旬現在、各磯でアタリが活発化しています)。
男女群島は底物師の聖地です。本イシの数釣りが楽しめる中、4㎏クラスも姿を見せてくれます。そして時にはクチジロの1発もあるからたまりません。
令和となった新時代も多くの夢追い人がチャレンジし、数々の熱き闘いのドラマが生まれることでしょう。
取材協力:キングチャレンジャー
レポート:武富 淳(キザクラ広報)