2023年5月13.14日、高知県宿毛市宿毛湾一帯で、シード選手3名と各地区から予選を勝ち上がってきた総勢22名で全国大会が開催されました。
私はここへ来るのは初めてということもあり、本当は事前に下見釣行したかったのであるが、宿毛に行くためには、私が住む福岡市から大分県別府港まで車で向かい、フェリーに車を載せて愛媛県の八幡浜まで渡り、そこから更に100キロ程を南下しないといけない。
時間として片道約7時間という遠い道のりのため、大会前日に前釣りして少しでも釣り場の雰囲気を確かめることで本番に挑むことを選択した。
宿毛湾のチヌ釣りとはどんな釣り方なのか、釣り場の状況等の情報が少しでも欲しくて、過去の動画等を検索して何度も見返したり、宿毛へ行ったことがある人に聞いたりで、なんとなくだがイメージは掴めたが、実際現地で経験しない事には何とも言えない。
大会前日の早朝に宿毛の藻津港に到着。
そこから瀬渡し船で磯に渡してもらいました。
この日は大藤島の笠松、西田渡船の出港地近くの湾の出口付近の2か所で釣りましたが、なにも状況が掴めないまま、エサ盗りに翻弄され1匹も釣ることが出来ずに終了。
船長さんの話ではチヌの乗っ込みは終わっており、一日頑張って1,2匹釣れたら良い方とのこと。
大会当日の抽選番号は、昔のプロ野球ピッチャーのエースナンバー18番を引きました。
この大会のルールを簡単に説明すると、対戦者と釣り場を代えて初日2試合、2日目1試合を行い、勝ち点と重量差によって順位を決めます。
そして、予選上位1位と2位で決勝戦を行います。
トーナメント形式ではない為、2日目の予選が終わるまで誰が決勝に上がるか分からない。
そんなジャパンカップのルールは、運だけでは勝てないし、初日に負けたら2日目は見学だけという惨めな思いをしなくても良い所が魅力なのです。
第1試合目は、兵庫県の松本選手と大藤島のナガイソというところで対戦です。
予選は90分で釣り座交代(計180分)して5匹までのチヌ・キビレの総重量で勝敗を決めます。
釣り座優先権は松本選手にあり、本命らしきポイントを選択されました。
いつも通っている佐世保の九十九島等とは雰囲気も違い、根が荒いので底を這わせるような釣り方は通用しないため、使用したウキは、黒魂R2EVOの3Bに全層ホルダー細をセットして、ウキ止めをハリから6メートルの所に結んだ半遊動仕掛けで狙いました。
環付きはウキの交換等が直ぐに出来るので、状況に応じて全層釣法や半遊動の切り替えが容易なので、この時のために数年前から環付きウキの練習は時折やっていました。
試合開始のホイッスルがなると、マキエをドカ打ちして仕掛けを投入すると目の前で馴染んだウキがすぐにアタリを捕らえました。
合わせるとゴクンゴクンと重々しいチヌの引きが伝わってきます。
えっ嘘やんとビックリしましたが、締め込みに耐えているとハリが外れてバラシ。
宿毛のチヌはマッスルチヌと呼ばれ、引きが強いとは聞いていましたが、本当にパワーがあって今まで経験したチヌの引きより1,5倍ほどは強いと感じました。
気を取り直し同じパターンで攻めていると、数投目にウキがスゥーと海中に消えていきました。
しっかりと合わせて強烈な引きを耐えながらタモ入れ成功。
40センチオーバーの本命をゲットすることが出来一安心。
急いで追加のチヌを狙いますが、潮が速くなりすぐに境界線近くまで流れてしまうので、釣り辛い状況が続きます。
すると対戦者のロッドが大きく曲がります。
これはかなり大きそうで、何度も締め込まれています。
しばらくのやり取りの末、私が釣ったチヌより遥かに大きいチヌが取り込まれました。
1日釣って1,2枚釣れたら良い方だという船長の言葉が頭をよぎります。
1試合目で負けたら後の試合は消化試合でしか無くなってくるので、場所交代後はしっかりと釣り場の状況を見極めて数か所を攻めながらポイントを探ります。
ここでウキを黒魂DET3Bに交換して狙っていると、ウキがスパッと消えたと同時に手元までガツーンとくるアタリを捕らえました。
これがチヌの引きなのか?と思うくらい、鋭い突っ込みと足元近くに寄せても何度も締め込む引きはまるでオナガグレの様でした。
バラシてなるものかとやり取りして、タモに収まったのは50センチクラスの良型チヌでした。
そして、しばらくして再びチヌを追加して1試合目は勝利。
2試合目は、広島の山縣選手と大藤島の扇バエでの対戦です。
前の試合では、常に表彰台に上がっておられる福山の村岡選手が1対0で勝利されているとのこと。
村岡選手でさえ1匹なので、自分に釣れるだろうかと不安です。
この試合でも対戦者に先制の1尾を釣られました。
釣り座交代後は、ウキを黒魂R2EVOの0シブに変えて、ツケエ(ネリエ)の重みだけでゆっくりと底まで探っていく釣り方に変更しました。
これが正解だったようで、3匹のチヌを釣ることが出来て2試合目も勝利することが出来ました。
初日に2勝したのは、私と鹿児島のキザクラインストラクター川添選手、兵庫の矢野選手の3人です。
それ以外にも1勝1分けの選手が数名いて、翌日の3試合目が終わるまでは、誰が決勝に行けるか分からない状況です。
翌日の第3試合目は、ディフェンディングチャンピオンの下関の百合野選手と湾奥のカンノンシタで対戦です。
前日からの豪雨で湾奥は水潮で魚っ気もなく、互いに1匹も釣ることが出来ずに引き分けとなりました。
選手全員が帰港して検量後に決勝戦進出者の発表が行われました。
そこで名前を呼ばれたのは、1位通過でなんと私。
2位通過は村岡選手でした。
私の釣り人生の最大の目標としていたシマノジャパンカップの表彰台に上がれることがこれで確定してしまいました。
ジャパンカップでは、グレが5回、チヌが2回目の全国大会でしたが、ようやく念願の上位入賞を果たしたのが嬉しくてたまりませんでした。
決勝戦は報道陣やギャラリーが見守る中、イシズミで開始されました。
この釣り場は水深が浅くて、所々に沈み瀬が点在しています。
私が最初に入った釣り座は向かい風ということもあり、黒魂シリーズの中でも遠投性も良く、ゆっくりとウキを沈めたかったので、黒魂ACEの0シブでスタートしました。
しかし、すぐに根掛かりして道糸から高切れしてしまいました。
幸先が悪い出足ですが、気持ちは落ち着いています。
そこで、もっと遠投出来るウキで私が普段のチヌ釣りで愛用している黒魂Kingの0シブを取り出して、ウキ下のハリスを2ヒロ弱として、完全フカセで狙うことにしました。
前半戦半分位経ったでしょうか、ギャラリーから大きな拍手が沸き上がり村岡選手が良型のチヌを取り込みました。
やがて、前半戦の60分が終了して釣り座交代です。
すると風向きが変わってまたまた向かい風となってしまいました。
予定と違うやん?と思いましたが、どこを攻めるか海の状況を判断して釣り開始です。
遠投して沈み瀬の周りを攻めていると、ウキが沈み瀬の上に来たので、根掛かりしたら嫌だなと思い、仕掛けを回収しようとするとチヌが居食いしていたようで、ゴクンゴクンと特有の引きが鱗海マスターチューン0.8号5.3mを大きく曲げてくれました。
慎重に取り込んだのは良型のチヌでした。
これで同匹数となり並びました。
狙い所はそこだと思い、風と上潮を考慮しながら、マキエと仕掛けの投入点を変えながら打ち返します。
すると、先ほどのポイント付近に仕掛けが入った時に、ラインがスゥーと引っ張られました。
合わせるとズッシリとした重量感でチヌだと分かる引きが伝わってきました。
この1匹はとても大事だ。
慎重にチヌを誘導してタモ入れ成功です。
そして、終了1分ほど前にまたまたチヌがヒット。
これも良いサイズで、強引な引きで右へと走っていきます。
こちらも移動しながらチヌを釣り座近くへ誘導しようしていた所で試合終了のホーンが鳴ります。
ここから1分以内に取り込まないと無効になりますが、時間に余裕を残して取り込み成功です。
なんとこの瞬間、優勝という2文字を勝ち取ることが出来たのです。
表彰式ではいつも下から拍手を送るばかりで、表彰台に立つ選手を羨ましく思っていたのですが、自分が一番高い所に立っている現実がそこにはありました。
高い所から見る景色は最高で、憧れのシャンパンファイトも体験することが出来ました。
「夢は見るものではなくて叶えるもの」
この言葉を心の中に、今までチャレンジを繰り返してきましたが、ようやく念願の一つが叶いました。
もう一つの夢はジャパンカップ磯(グレ)でテッペンを獲ることです。
叶わないかもしれないけど、叶えるための努力は気力、体力が続く限り、今後も追い求めていこうと思います。
長文をご覧頂きありがとうございました。
大会結果の詳細は第10回全国(2020年度)大会|ジャパンカップ クロダイ(チヌ)|2023|SHIMANO FISHING EVENT -シマノ釣りイベント情報-をご覧ください。