釣り人 大宅 正秀 まとめ 武富 淳(キザクラ広報)
佐賀県武雄市在住の大宅正秀さんは、弱冠22歳でイシダイ釣り歴5年目。底物釣りが好きで好きでたまらず、これまで行った釣り場は、本イシ狙いは、五島、平戸一帯。クチジロ狙いでは男女群島、宇治群島、屋久島、神津島など。本イシの記録は60.5㎝で目標は65㎝。そしてもうひとつの憧れ、クチジロは70㎝を目指している。
6月26日、若き熱血漢は、そのクチジロの夢をつかむべく釣り場、小笠原、母島へと旅立った。佐世保に住む常連の大先輩たちに同行することで大遠征が現実となった。
大物に自信を持って挑むタックルは、青獅子Hの竿に道糸30号を巻いた幻覇王50をセット。瀬ズレ(1.5m)、ハリスワイヤー(30㎝)共に36番(7本ヨリ)、ハリは22号でテンビン仕掛けのオモリ50号(捨て糸1.5m)。
そしてエサのズリ上がり防止と食い込みを促すため、エサホルダーは必ずセットする。大物とはなかなか出会えない。その少ないチャンスを確実にものにするためには、エサホルダーは欠かせないという。
初日の28日に上がったのはサワラ根。ここでいきなり洗礼を受けた。
1投目、足元のカンター40でアタリをものにし大格闘を始めたが、途中の張り出し根に30号の道糸が擦れて仕掛けを飛ばされたのだ。
大物に備えドラグは調整していたが、想像を超えるパワーとスピードで完全に主導権を握られてしまった。
昼2時に乾崎に瀬替わりし、結局1日目はクチジロ交じりで55~62㎝を2ケタ手にした。
そして2日目、念願の夢をつかむ。
穴の口に上礁し50㎝クラスのイシガキを数枚釣り、冷凍シロウニを3個掛けしてカウンター33のタナを狙っていた8時半過ぎだった。
フワフワと穂先を小さく揺らすアタリがあった。大物だと確信すると、すぐに臨戦態勢に入り相手の出方をみる。深ダナだけど手持ちだけに海中から息づかいがダイレクトに感じられる。
10分くらい経って穂先が20㎝ほど押さえ込まれた。高鳴る鼓動を抑えていると、グッーと入りかけたが止まった。エサを離したようで穂先が戻った。
だが、30秒くらい待つとググーと重みが伝わり、それから加速していき剛竿がギュイーンと一気に舞い込んだ。
こん身の力で合わせると、強烈な勢いで反撃する。5mほど上げたところで経験したことない強引でねじ伏せられそうになる。でも踏ん張った。必死に堪えていると徐々に浮いてきたが、残り15mほどのところで今度は左へ突進した。磯の王者は猛烈に抵抗しけして諦めない。
大宅さんも負けてはいない。態勢が崩されそうになりながらも、自分のタックルを信じ強気で立ち向かった。
やがて磯上に横たえた獲物は、威厳に満ちた面構えだった。ゴツい口元には黄色のエサホルダー。頼りになる必需品は、警戒しながらエサを食うクチジロの最後の走りを促してくれたのだ。
震える両腕でホワイトマスクをしっかりと抱えるとずっしりと重い。検量の結果、目標を超える75㎝6.68㎏で嬉しさが込み上げた。
2日間の竿出しで、自己記録のクチジロを筆頭に60㎝前後のクチジロ、イシガキを20枚近く釣った(母島漁協の取り決め事項により大宅さんは、記録魚1枚だけキープ)大宅さんはいう。
『夢が叶う小笠原は最高ですね!そしてこのクチジロは次の夢を見させてくれました。今度は80㎝10㎏を捕りたいです。とにかく、2日間で4回も道糸から飛ばされたので来年もリベンジ釣行します』。
若き底物師はまるで人生のすべてを投げ打つかのように、小笠原、クチジロに対する思いを熱く語った。
底物師の心をとらえて離さない磯の王者クチジロ。そして、クチジロの楽園、小笠原。大宅さんが、この希望の島で夢をつかむのはそう遠くないのかもしれない。
・大宅さんの今回の小笠原、母島大遠征のスケジュール
6/26 4時半自宅出発。長崎空港7時半発の飛行機で羽田へ。竹芝桟橋11時発のおがさわら丸に乗り込む。
6/27. 11時父島着、母島丸に乗り換え15時母島着。
翌日からの釣りの準備、1週間前に送った道具の確認。
6/28. 真漁丸にて5時出船、5時半サワラ根へ。
14時の見回りで乾崎へ。
18時回収。
6/29. 5時出船、6時穴の口へ。
18時回収。
6/30. 朝から道具の片付け。
12時母島発のフェリーで父島へ。15時発のおがさわら丸へ乗り込む。
7/1. 15時竹芝桟橋着。17時50分の飛行機で長崎空港へ。