6月に入り水温が上がり始める季節なのだが、なかなかベストとはいかない状況の中、上五島一帯の磯で60オーバーの尾長が姿を見せ始めた。
夜釣りではあるが、赤島や貝瀬の尾長ポイントは数が出ている。
大型尾長の北上傾向があり、嬉しい限りである。
宮ノ浦の漁師さんの網には70センチ近い尾長も入っているとのことで、平戸島でも狙うことができるようになるかもしれない。
6月3日、唐津の大物釣り師、瀬戸さんが77歳となり、最初で最後の男女群島に同行してくれとのお願いがあったので、正午出航のブラックヘラクレスに乗り込んだ。
エンジン全開で走ってくれて、約3時間弱で到着。
上げてくれたのは、中ノ瀬戸の荒磯カブリ。
足場が低く、斜めになっているので、なかなか上がることができない尾長ポイント。
20年ぶりに上がれたので期待を込めて準備に取り掛かる。
これから日暮れまでのゴールデンタイム、尾長が群れているのなら、確実に大型は当たってくる。
確実に獲れる仕掛けで挑みたい。
尾長竿の4号に道糸6号、ハリスは6号からスタートする。
海の状況はベタ凪で上り潮が入ってきている様子だ。
佐藤瀬の方向へとゆっくりと潮が動いている。
この潮の中に、速すぎず、遅すぎずのスピードでツケエをマキエと同調させながら落とし込んで尾長にツケエをアピールさせたい。
こういうときはウキと潮の動きを完全に同調させるのが定石の狙い方。
流れが海底の大きな障害物にぶつかったり、差し掛かったりすると、下層へ沈もうとする流れが発生する。
ウキがシブシブの状態で流れていき、その下降流を掴むと潜航していくように浮力をチョイスする。
大型の尾長は警戒心が強く、沈み瀬や海溝などに潜み、その周りで捕食していることが多く、海底からエサを目がけて上昇している。
このイメージを頭に入れて仕掛けを作る。
男女群島など対馬海流が直接流れこむ場所は、流れが複雑となりやすい。
ふらつくウキを選択すると、この流れを攻略することはできない。
どっしりと安定して、流れを確実に捉えることができなければ、大型の尾長がいる層にツケエを届けることができないし、不自然なツケエのアピールしかできない。
そこで活躍するのが「Z-Motion」今回は00浮力をチョイス。
タイドレシーバーのMサイズを使用し、真下に「カラーガン太君4号」を打つ。
ハリスは2ヒロ取り、針は伊勢尼の9号を結ぶ。
釣りをスタートする前にドローンを飛ばして上空から海底の状況を把握して狙うポイントを探す。
偏光レンズを装着しているので、ある程度の水深までは海底の状況を確認することができる。
佐藤瀬から伸びるハエネ付近が狙い目となりそうである。
仕掛けを流すと、その狙い目あたりで仕掛けが吸い込まれていく。
道糸を張り気味に送り込むと…
「バチバチバチ」と道糸が弾け飛ぶ尾長のアタリ。
40〜50センチサイズが連発する。
ウキが沈み始めて、間も無くヒットしてきている。
狙いの60センチオーバーのサイズはもう少し深いタナで捕食していると予測し、釣れている中型サイズを交わすために、ハリ上50センチ付近に「カラーガン太君5号」を打つ。
マキエよりも早めに沈ませていくことにしてみた。
流れに仕掛けが馴染むと、道糸がパラパラと出ていき、下降流が発生しているところに到達すると、道糸の出が止まり、ウキが沈んでいくのが確認できる。
道糸のフケをとり、竿先で海中の状況を感じ取るように集中していると、「コツ」っとした感触。
すかさずアワセを入れると、強烈な引きが返って来る。
大型の尾長と判断し、大きく2回ほどのアワセを入れる!
口元へのフッキングを確実にさせるためだ。
強度あるタックルなのでまずは強引に沖の障害物から離す。
足元へと導いてからは瀬に仕掛けを擦らせないように慎重なやり取りを心がけて魚を弱らせる。
魚影が確認でき浮かせてからも油断は禁物。
何度も突っ込む。
ここで何度もバラしたことがある。
タモに収まったのは…
回遊性の63センチの尾長だ!
まだ潮の流れはいい感じなので、まだ釣れると同じパターンで中型サイズを交わしながら狙っていると、今度は竿ごと引き込まれるような気持ち良いアタリ。
60センチの尾長がタモに収まる。
時が過ぎていき、空が夕暮れ色に染まり出した頃…
瀬戸さんの竿が大きくしなる!
かなりの大物のようだ。
強烈なツッコミを何度もロッドワークで交わし、大型の尾長を期待させる!
浮いてきたのは…
大型のタマン!
それからはその流れが止まり、それまでの尾長のアタリは無くなってしまった。
期待された夜釣りはアタリさえない状態。
流れが下げの一方通行。
下り潮が入ってきたようで、水温が一気に低下した模様。
翌日の夕方まで頑張ったのだが、大型の尾長は出会えず、風が強まってくるとのことで、男島の南風泊に瀬代わりするが、体力が続かず、納竿時間の午前4時を迎えてしまう。
帰りの船で他の釣り人の話を聞いてみると、初日の夜はアラがよく釣れたらしい。
二日目からは全く魚のアタリが止まってしまったとのこと。
魚の楽園でも潮の流れには勝てないということだ。
こればかりは予測はつかない事なので、仕方がない。
今期は水温が低めに移行している影響なのか、サメの姿が全く確認できなかった。
7月後半までは尾長が期待できそうな夢の島、男女群島。
80センチオーバーの夢を求めてチャレンジはまだまだ続く。